クールな准教授の焦れ恋講義
 しばらくは報告会の準備に忙しかった。会自体の準備もさることながら私自身も報告しなくてはならなかったので、その用意も平行してしなくてはならない。

 予算報告は田代さんの担当で私は活動報告の担当だ。おかげで先生に会うことはなかなか叶わなかったが誕生日は先生と約束しているのでそれを励みに頑張ることが出来た。

 そして当日、最終確認を田代さんとしているところで受付担当から声がかかった。

「田代さん、早川さん、新聞社の方がお見えですよ」

 田代さんと受付に行くと新聞社の腕章をして黒の肩掛け鞄をしている青年がこちらに向けて頭を下げてくれた。思ったよりも若いことに驚く。

 こういう企画だし、もう少し年配の方が来ると勝手に想像していた。新人とまではいかなくても先生よりは若い。日に焼けた肌にダークブラウンに染められた髪は体育系のようだが、どこか素朴な感じだった。

「矢野さん? お電話でやりとりした田代です」

「こんにちは。改めまして矢野浅彦(やのあさひこ)です、お世話になります」

 名刺を取り出して田代さんに渡しながら軽く挨拶をした後、こちらにも同じように名刺をくれたので私も急いで挨拶する。

「早川奈津と申します、よろしくお願いします」

「今度の企画展はこの前お電話で私がお話した通りですが、今年度までの企画展は早川が担当ですので詳しいの内容は彼女に訊いてくださいね」

 矢野さんは改めて私に視線を向けた。

「はい。早川さん、お忙しいとは思いますがどこかでお時間頂けますか?」

「あ、それなら今大丈夫です。会場準備もほとんど出来ていますし、まだ開始まで時間がありますから」

 そう言って促すと少し受付から離れたところで矢野さんと話すことになった。
< 25 / 90 >

この作品をシェア

pagetop