クールな准教授の焦れ恋講義
「だって早川さん、来週誕生日なのに一緒に過ごしてくれる人もいないのよ?」

「別にもうそんな誕生日を特別に祝う年でもないですし」

「そんなこと言ってー」

 本当は先生と約束しているが、田代さんにいちいち言う義理もない。しかし矢野さんは違うところに驚いたのか目を丸くしていた。

「え、早川さんって誕生日いつなんですか?」

「来週の二十五日です」

「俺、二十六日なんですよ!」

「近いですねー」

 なんとも奇妙な偶然である。そしてその偶然に感動したのは当人たちよりも田代さんのほうらしく

「まー! すごいじゃない。同じ学部出身で誕生日も一日違いなんて。運命よ! 矢野くんは誰かと一緒に過ごす予定でもあるの?」

「いえ、仕事ですけど」

「もう二人で誕生日お祝いしちゃいなさい、ね!」

 すごい勢いで話をまとめようとする田代さんをさすがに私は制した。

「田代さん、落ち着いてください。矢野さん困ってますよ?」

「矢野くん、困ってるの?」

「だから」

「誕生日がどうした?」

 ふと上から降ってきた声に私の心臓が跳ね上がった。顔を上げるとちょうど外に出ようとしている先生がこちらを不思議そうに見ていた。そしてその隣には西本先生がいる。
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