クールな准教授の焦れ恋講義
 緊張しながらも先生の部屋に上がらせてもらう。想像していたよりもずっと綺麗だった。というより、あまり物がない。

 テレビにソファ、パソコンにデスクと必要最低限のものばかりだ。照明器具が色々あるのが気になるところだが、モノトーンでまとめられて落ち着いた雰囲気なのは研究室にも共通している。

 まじまじと部屋を見渡していると先生がやってきた。

「コーヒーでいいか?」

「すみません、お気遣いなく」

 いつも研究室では私が淹れるのが当たり前なので、先生に淹れてもらうのはなんだかむず痒い。かといって淹れましょうか、と言える状況でもないし。沈黙が怖くてわざとらしくキッチンにいる先生に話題を振った。

「意外と広いんですね」

「生活スペースはそんなに必要ないんだけどな、なんせ本を置く場所が必要で」

「でもここにはあまり見当たりませんけど?」

「ああ。あと二部屋あって寝室ともう一部屋に本を置いてる」

「一部屋丸々?」

 つい声が大きくなってしまった。研究室にもデスクを囲むようにして本棚に囲まれている先生だが、それ以上に本を持っているなんて。

「こっちに来たときに、ある程度あげたり売ったりしたんだけどな。元々趣味で読む分も多いし」

「本が好きなのはいいですけど、床が抜けないように気をつけてくださいね」

 そう言うと笑いながら色違いのマグカップを両手に持って先生が現れた。
< 41 / 90 >

この作品をシェア

pagetop