クールな准教授の焦れ恋講義
 週末は絶好のお花見日和だったが、私はジーンズにカットソーと動きやすい服装で澤井古書店を訪れていた。

「ここの棚の分は一つにまとめてかまいませんか?」

「ああ、重複しとるやつはこちらにまとめて頼む」

「はーい」

 脚立に座って高い位置からレジから飛んでくる澤井さんの指示に従い、下で待機している和弘くんにどんどん本を手渡していく。

 ある程度まとまめたらそれを運ぶのは彼の役目だ。意外にも文句を言わずきびきびと働く。どうやらネット販売を行うのは和弘くんらしく、タイトル名や値段などをパソコンにいちいち打ち込んでいた。

 そんな彼と会話らしい会話もなく黙々と作業を進め、澤井さんから休憩を提案されたときには微妙な間合いをどうしていいのか逆に困ってしまった。

 レジの近くにある小さな机の上に出された麦茶で喉を潤しながら、強制されたわけでもないのに、なんとなく話しかけなければならないと感じてしまい必死に話題を探した。

「和弘くんて背が高いよね。何かスポーツでもしてるの?」

「水泳」

 背の高さはあまり関係ないのかもしれないが、端的な回答が返ってきた。
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