クールな准教授の焦れ恋講義
「それにしても今年のゼミ生さんたち、なんかすごいね」

「まぁ毎年のこととはいえ一回生の女子たちには、ちょっと手を焼きそうだな」

「先生、無理しないでね」

「奈津こそ声疲れてないか?」

 いきなりの指摘に私は焦る。先生と電話が出来て浮かれているのに、それを差し引いても私の疲れは声に表れていたらしい。

「週の真ん中だからかな? 今日は早く寝るよ」

「長々と悪かったな」

「そんなっ。わざわざ電話してくれて嬉しかったよ。忙しいのに日曜も空けてくれて……本当にありがとう」

 精一杯のお礼を告げると先生は何か言いたそうなのが伝わってきたが、短く「ちゃんと休めよ」と告げられ電話は終了した。役目を終えた電話を握ったまま私はベッドに再び突っ伏した。

 気を遣わせちゃったかな、先生だって忙しいのに。

 疲れからか、普段は気にならないことが悪いほうに気になって負のスパイラルに陥っていく。

 いつもご飯作ってもらってるし、外で食べたら先生が出してくれるし。煙草が苦手だからこの前みたいなことになっちゃうし。西本先生なら煙草も平気で先生の仕事にも的確なアドバイスが出来て……。私って何か先生の役に立ってる? 彼女として今のところ、いいところなしのような気が。

 それでも今の私には一つの希望があった。この日曜日で手伝いを終えたら、あの本を手に入れられる。先生の誕生日にプレゼントしたらきっと喜んでくれる。

 そのことを想像して気持ちを浮上させると今度こそ睡魔が襲ってきて私はゆっくり目を閉じた。
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