クールな准教授の焦れ恋講義
 そして先生から連絡をもらったの七時半頃だった。完全に寝入っていた私には電話のコール音はかなりの不意打ちだったが、急いで支度を整えることにする。

 確かにこの分だとあまり会える時間は少なそうだ。まだ眠りたいと身体は訴えてくるがそれを振り払う。あまり食欲はなかったのでそのまま私は家を出た。

 迎えに行こうか? と先生は言ってくれたがそれを丁重に断り一歩踏み出す。元々歩いてもそこまで距離があるわけではないし、人通りも多い道なのでそこまで危なくもない。何よりこの本のことは家で驚かせたいのだ。

 頂いた本を袱紗で包み袋に入れる。それを大事に脇に抱えて先生のところへ向かった。

「迎えに行かなくて悪かったな」

「ううん、平気。こちらこそ突然、すみません」

 先生に案内されていつものリビングに通された。ここに来るのはあのキスを拒んでしまって以来だったので、なんとなく緊張してしまう。その前にどのタイミングでこの本を渡そうかと悩んだ。

 意気込んで来たのはいいもののどんな風に渡そうかというのは全くのノープランだ。しかも肝心の誕生日は明日だし。

「どうした、深刻そうな顔して」

 先生に心配そうに顔を覗きこまれて私は慌てて後ろに一歩下がった。まだ至近距離で先生の顔を見るのに慣れていない。

「なんでもない」

 と、そこで改めてあることに気付く。
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