クールな准教授の焦れ恋講義
「先生、煙草吸った?」
かすかに香る煙草の匂いに私は反射的に尋ねてしまった。先生は頻繁に吸わないから、吸うと余計にすぐ分かってしまう。
「いや……」
しかしその問いかけに先生は言葉を濁して目を逸らした。どうもはっきりしない反応に私は色々思い巡らせる。
「あの、ごめんね。責めたわけじゃなくて」
この前も煙草が原因で気まずい思いをしたのがよみがえる。いちいち指摘することじゃなかった、と自分の空気の読めなささを悔やんだ。
そのときパソコンと同じ机の上に置いてあった先生の携帯が音を立てた。家にいるときはお決まりの位置で、立ち上がって近づくと先生はその場で電話に出た。そし電話越しに女の人の声が聞こえる、どうやら相手は西本先生のようだ。
相手が何を話しているのかは分からないが、仕事の話をやりとりしている中で、今日も一緒にいたのが窺えた。
「今日はありがとうございました。ええ、夕飯まですみません」
夕飯を断られたのは西本先生との約束が先にあったかららしい。きっと仕事の延長線上のことなのに、なんだが胸がざわめく。しかし次の瞬間、そんなものが全部吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。
先生の口からよく知っている本の名前が飛び出たからだ。聞き間違えるはずはない、なんたってそれは私が先生にプレゼントしようと、今持っている本の名前だったからだ。
「なんとか手に入りそうですか?いえ、研究費はともかく科研費のほうが余ってますから。ええ、いつもすみません」
いくらかやりとりを交わした後、先生が電話を切ってこちらを見た。
かすかに香る煙草の匂いに私は反射的に尋ねてしまった。先生は頻繁に吸わないから、吸うと余計にすぐ分かってしまう。
「いや……」
しかしその問いかけに先生は言葉を濁して目を逸らした。どうもはっきりしない反応に私は色々思い巡らせる。
「あの、ごめんね。責めたわけじゃなくて」
この前も煙草が原因で気まずい思いをしたのがよみがえる。いちいち指摘することじゃなかった、と自分の空気の読めなささを悔やんだ。
そのときパソコンと同じ机の上に置いてあった先生の携帯が音を立てた。家にいるときはお決まりの位置で、立ち上がって近づくと先生はその場で電話に出た。そし電話越しに女の人の声が聞こえる、どうやら相手は西本先生のようだ。
相手が何を話しているのかは分からないが、仕事の話をやりとりしている中で、今日も一緒にいたのが窺えた。
「今日はありがとうございました。ええ、夕飯まですみません」
夕飯を断られたのは西本先生との約束が先にあったかららしい。きっと仕事の延長線上のことなのに、なんだが胸がざわめく。しかし次の瞬間、そんなものが全部吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。
先生の口からよく知っている本の名前が飛び出たからだ。聞き間違えるはずはない、なんたってそれは私が先生にプレゼントしようと、今持っている本の名前だったからだ。
「なんとか手に入りそうですか?いえ、研究費はともかく科研費のほうが余ってますから。ええ、いつもすみません」
いくらかやりとりを交わした後、先生が電話を切ってこちらを見た。