クールな准教授の焦れ恋講義
 そう言ってこちらの言葉を待たずに口を塞がれた。先ほどの触れるだけのものとは違い力強く離れることも許されない。根負けして酸素を求めようと結んでいた唇をほどくと、その隙間から待ちかまえていたかのように舌が侵入してきて口づけは深いものになっていく。

 どうすればいいのか分からないながらも先生のシャツを握りしめ応えようと必死だった。意識しなくても自分のものとは思えない甘い声が漏れて羞恥心が煽られていく。恥ずかしい気持ちもあって終わらせようとするも先生の腕が、手が、唇がそれを許してくれない。

 どうやら私に選択権はないらしい。次第にじわじわと恥ずかしさよりも快感のほうが増していって何も考えられなくなっていく。もっと、と思い始めていた頃に名残惜しげに唇が離れた。

 そのときの先生の顔はなんとも言えない色気が漂っていて今までに見たことがないものだった。さすがに息があがって、先生に身体を預けると優しく髪を撫でてくれる。

「もっと必要か?」

 咄嗟になんのことだか分からなかったが、キスをする前の先生の言葉を思い出してゆっくりと首を横に動かした。

「十分、です」

 切れ切れに答える。思えば、こんな激しいキスは初めてだ。前のときは……。

「あれ? そういえば先生、煙草」

「ああ。あれから吸ってない」

 弾かれたように顔を上げて尋ねると、なんでもないかのような声が返ってきた。本人がどう思っているのかは謎だが、それが本当なら私にとっては大事件だ。
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