あなたの願いを叶えましょう
「夫の直(なおし)です」

にっこり笑顔の梁川さんとは対照的に、夫ナオシは右頬を赤く腫らし、しょんぼり肩を落として隣に座っている。

まさかキャリアウーマンである梁川さんの夫が、絵に描いたようなダメ男だなんて信じられない。

仕事は出来ても男を見る目はないらしい。

なんか妙に親近感が湧くけど。

「こちら会社の後輩で冨樫さん」

「は、はじめまして」

梁川さんに紹介されて、私はちょこんと頭を下げた。

「富樫さんはナオシの顔を見て何か気がつかない?」

梁川さんに言われ、はす向かいに座る無精ヒゲの生えたその顔をマジマジと眺める。

耳に掛かるくらいの緩くウェーブがかった髪は、伸びたのか流行りの無造作ヘアなのか微妙なところだ。

しかし、よく見ればナオシの顔立ちはなかなか悪くないかもしれない。

通った鼻筋に少し垂れた大きな目

口角の上がった形の整った唇

いや、悪くない、どころか相当な美形だ。
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