あなたの願いを叶えましょう
「期待なんかするか!そもそもあんたの家なんか行かないし!」

私は動揺と共に手を振り払う。

顔を真っ赤にしながら、ムキになっている姿を見て、黒澤波瑠は可笑しそうにケラケラ笑う。

「今日はお疲れ様。よく頑張った。ゆっくり休めよ」

目元を綻ばせて、私の頭をくしゃりと撫でる。

なによ、偉そうに。

そう思いつつも、その手から慈しんでいるのが伝わってきて、さっきみたいに振り払えない。

それどころか、なんだこれ。妙に胸がそわそわする。

離れ難いような…もう少し一緒にいたいような…この気持ちは何だろう。

黒澤波瑠は長い指でさらりと私の髪を梳く。

もしかして彼もおんなじ気持ちでいてくれているのかもしれない。

なんて淡い期待が胸を過ぎる。

黒澤波瑠は私の肩に手を掛けて、長身傾けると、ふわりと清涼感のあるコロンが香る。
< 122 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop