あなたの願いを叶えましょう
「ありがとう」

梁川さんのピンクのルージュを引いた薄めの唇は色鮮やかだけど、顔は新雪のように真っ白だ。

震えている指先にジッと視線を向けると、梁川さんは隠すようにギュっと拳を握る。

まさか…梁川さん…

私はハッと目を見開く。

メチャクチャ緊張してる?

図々しい人だと思ったけど、発表前に小娘のように緊張で震えるなんてカワイイとこあるんじゃない。

「大丈夫ですか?」

思わずへらりと笑みを浮かべてしまう。

「武者震いよ」

笑って見せるけど、青白い顔をしてるので、やせ我慢にしか見えない。

「頑張ってください」

私が声をかけると、勝気にフンと鼻を鳴らし、髪を耳にかけオーディションの舞台へ威勢良く踵を返す。

スクリーンに立つその横顔は新雪のように真っ白だった。

色白だとは思っていたけど、その整った顔立ちと相まってまるで生気のない人形のようだ。

「ドレッセ藤ヶ谷の販売促進につきましてご報告させていただきます」

スクリーンが切り替わり、パワーポイントで作成した資料が映し出される。
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