あなたの願いを叶えましょう
彼らが去って行った後の会議室はシン…と静まり返っていた。

この空気、どうしたものか。

私はゆっくり立ち上がる。

黒いストッキングは転んだ衝撃で膝小僧には穴が開き、そこから一直線に電線していいる。

七分袖から覗く肘は擦り傷ができ、薄っすら血が滲んでいた。

司会進行役の課長をチラリと見たら、視線がバッチリ合ってしまった。

「では、次、CRM推進部!資料請求画面サーバーダウンのトラブルについて発表をお願いします!」

嘘でしょ…この状況で?

そんなボロボロの姿にも関わらず、残念な事に私の手にはしっか資料が握られている。

会議室中の視線は私に集中した。

くしゃくしゃになった資料を持ち直し小さく深呼吸する。

「それでは先日発生致しましたシステム障害による資料請求画面のサーバーダウンのトラブルについて報告させていただきます」

私にとっては、この状況が一番のトラブルなんだけどね。

発表をしながらも頭の隅でそんな事を思った。
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