あなたの願いを叶えましょう
私はワザとらしくへらりと笑って、小首を傾げる。

「あら!梁川さんはまだ意識が戻っていないんですね。大丈夫ですか?」

惚ける私に黒澤波留は訝しげな視線を向けてきた。

「あ、私も消毒に」

肘と穴の空いた黒いストッキングから覗く擦り傷を二人に見せて、偶然をアピールする。

「先ほどは、ありがとう」

「いえ、そんな……たまたま近くにいたまでで」

課長がぺこりと頭を下げるので恐縮してしまった。

そのまま、奥の診察室で光江さんに消毒をしてもらう。

消毒液に浸した脱脂綿を無遠慮に傷口へ押し当てるものだから、その度に私は蹴飛ばされた猫のような悲鳴を上げる。

最後に傷が残らない絆創膏を貼ってもらうと、処置は完了した。

「お先に失礼しますー」

ベッドサイドで沈黙のまま暗い顔をして座っている黒澤波留達に義理程度の挨拶をすると、そそくさと医務室を後にする。

やっぱり来るんじゃなかったかな。
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