あなたの願いを叶えましょう
「冨樫と違って、俺は総合職だから、転勤や異動の心積もりなんていつでも出来てる。ずっと自分のやりたい仕事だけやれるなんて思ってないよ」

冨樫と違って、を敢えてつけてくるあたり、ムッとしていることが伝わってくる。

「た、確かに内示で異動になるのは仕方ないと思うけど、みすみす自分から今のポジションを手離したら、こ、後悔すると思うけど」

黒澤波瑠が諦めたような事を言っているのが我慢ならなくて、吃りながらも思わず反論してしまった。

「随分知った口を聞くんだな」

その穏やかな口調とは裏腹に私を見据える瞳は冷ややかだ。

心が凍ってしまいそうになる。

「うちにはうちの事情がある。冨樫には関係ない」

ピシリと言い放ち、笑みを浮かべる。

鉄壁の作り笑顔で、取り付く島一切ナッシング。

出過ぎた真似をしたか。

私の頬は羞恥から熱を帯びる。ふわりと煙のように消えてしまいたくなる。
< 164 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop