あなたの願いを叶えましょう
夜九時を過ぎた人気のないオフィス

私は黙々とパソコンに向かう。

少し前、スマホに梁川さんからメッセージが届いた。

病院に行ったけれど軽い貧血で異常がなかった事と、助けてくれてありがとう、というお礼が律儀にもしたためられていた。

再びコミュケーションアプリを起動させて、メッセージの受信がないのをチェックすると、無意識に口からでっかいため息が出る。

黒澤波瑠から、フォローのメールや電話は勿論ない。

まぁ、解ってはいるけどさ。

「なによー冨樫、辛気臭いため息なんかついちゃってさ」

後ろの席に座る野口さんがキャスターを転がして近づいて来た。

「別に…ちょっと疲れただけです」

上司に対する態度にはあるまじき、仏頂面で答える。

「じゃあ、もう上がってなんか食べ行こう」

「まだ終わらないので、先上がっててください」

せっかく誘ってくれたけど、そんな気分じゃない。
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