あなたの願いを叶えましょう
確かに私は『結婚』というものにそんなに興味がある訳でもなかった。

「私達って今年29歳じゃない?30歳という年齢を見据えて、自分に見切りをつけたんだ」

苦い台詞で乾いた口を湿らせるように私は一口マッコリを口に含んだ。

「仕事は好きだよ?だけどこの先独りで生き抜くほどの経済力を持てるようになるとは思えない」

どうせ頑張ったって出世出来ないーーー

黒澤波留にあの日言われた一言はジワリジワリと毒がまわるよう私にダメージを与え続けた。

「そんな事ないよ!」

優奈の反論に、私は首をゆっくり横に振る。

「頑張ればどうにかなる、そう思ってたけど、私が死ぬ気で頑張ってようやく達成出来た仕事を鼻歌まじりにこなしちゃう人っているんだよね」

そして我が社にはそんな人材がゴロッゴロいる。

一時期そんな人達と比べては、自分は馬鹿なのかな…と、真剣に悩んだこともあった。

しかし、そうではない。

彼らが人よりずば抜けて優秀

そして私は普通

ただそれだけの事だった。
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