あなたの願いを叶えましょう
ああ……今日俺はデートだったんだ。

そう、富樫円と楽しい楽しいデートだった。

それがキャンセルになっただけでも悲しいのに何なんだ、この窒息しそうなほど重苦しい空気は。

ふつう、手放しで大喜びするところじゃねぇのかよ。

「子ども?俺の?」

暫しの沈黙の後、ようやく発した一言。

清美さんはナオシのすぐ側まで歩みより、両手でぎゅっとジャージを掴んだ。

「そうだよ、ナオシと私の子どもだよ。貧血が続くから念のため調べてもらったら、なんと6週目だって」

ふたりは言葉を交わすことなくじっと見つめ合う。

何を思っているのかさっぱり解らないけれど、きっとお互い通じ合っているんだろう。

俺は完全に部外者となった。
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