あなたの願いを叶えましょう
17:30

定時を知らせる鐘が鳴る。

朝から定時退社を決意していた私は急々デスクの上を片付け始めた。

「冨樫さぁん!」

後輩男性社員の花本が書類をハタハタ振りながら、私のデスクへとやって来る。

「…なによ」

ギン!と睨みつけて威嚇してやると花本はギクリと固まる。

今風のトップを立てた髪型に、育ちの良さそうな温厚な顔つき。

ちょっと面長だけど可愛といえば可愛いのかもしれない。

しかし、この子の話しは要領を得ず、ぐずぐずモタモタしていてるので「でえーい!まどろっこしい!」と気の短い江戸っ子さながらせっつきたくなる。

「あの…実は、土曜日二子玉川のグリーンガーデンで…開催するキッズヨガイベントで…」

花本は背が高いのに上目という不思議な姿勢で、しどろもどろに話を切り出す。

明日土曜に新しくオープンした商業施設で、我が部が企画した無料キッズヨガ教室が開催される。

確かにそのイベントの担当は私と恵梨香ちんだった。

「それさあ!」

しかし、定時後に相談を持ちかけられるとは厄介な予感しかしないので、声を張ってぶった切っる。

「聞くの今じゃなきゃダメ?」

そして、目元は1㎜たりとも綻ばせず口角だけを上げ威圧的な笑みを浮かべる。
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