あなたの願いを叶えましょう
「なんだよ、そのリアクション」

振り向くと黒澤波留が眉を顰めている。

周囲の視線が集まってちょっと居心地悪そうだ。

「俺がセクハラしたみたいな空気になっちゃってんじゃねえか」

「ご、ごめん…」

実は全身筋肉痛で。

なんてカッコ悪い事は言えない。

「そんなに嫌?俺に触られるの」

耳元でコソっと囁かれると、あの晩の事が脳裏に蘇り鼓動が大きく跳ねた。

タイミングよく信号が青になったので、私は能の演者のような摺り足で交差点を渡っていく。

「なんだよ、その変な歩き方」

ケチをつけながら黒澤波留がぴったり横について来るが目を合わせないよう真っ直ぐ前を見て歩く。

隣からため息が聞こえた。

「この間は確かに俺が悪かったよ」

黒澤波留はバツが悪そうに俯く。

何で謝るのよ…

その態度にイラっとする。

だってそれは自分が間違った事をした、って認めているようなものだから。
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