こんにちは、頭蓋さん。



一段降りるたびにカンカンとなるステンレス製の階段を降りきり、同じ性質のドアを開けた。


見えるのは、まだ朝だから閉店している薄暗い店内と、変人。



「……あら、桐島ちゃんに頭蓋ちゃんじゃなァい」

「……無視よ無視」

「……あー可哀想。笑えてくる」



私のことを苗字で呼ぶその男は、カウンター近くにあるスイッチを押して店内を明るくした。



「朝だケド一杯飲んでかない?」

「……」

「……」

「ァんもうっ、なんか言って頂戴!」



金髪ポニーテールの麻野さんは、つけまをつけて口紅を厚く塗り化粧でシワを隠すオカマの大家なのだ。


朝から夜までこんな感じなので、苦手になるのは致し方ない。



「いいワヨ別に。……これから二人は一緒に通勤通学なんでしょうねーっ」

「はっ?一緒に?」



ばっと隣にいる頭蓋さんを見つめた。そんな魂胆があって部屋を出るタイミング被せたんだなこの頭蓋骨。


にこりと笑うその顔が憎い。



「一緒に電車乗ろう?綾」



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