こんにちは、頭蓋さん。
ペンのキャップを外し、指先にちょんっとつけて書けるか確認。大丈夫、いける。
自然と笑みが止まらなかった。
「…失礼します、…っ!!」
ペン先を彼の頬につけようとした瞬間、ふとその手首に少しの重みが加わった。そしてぎゅっと掴まれる。
「は、頭蓋さっ…、」
抗う間もなくそのまま腕を引かれ、ギシリと音を立ててベッドに沈む。持っていたペンが床に転がった。
戸惑う私にパチリとした瞳を向けるのは、さっきまでこの場に寝ていた男。
「……寝ぼけてますか」
「ううん。ばっちり覚醒してる」
そう言ってニコリと微笑んだ彼は、私に跨ったままその整った顔をぐいっと私の顔に近づける。
「可愛い綾がいるのに、寝てるわけないよね」
喋ったときの吐息が頬にかかった。
くすぐったい。でも、これを口にしたら反応を面白がってまたやってくるに違いない。
そう判断した私は彼を思いっきり睨みつける。
「…どけて」
「やーだ」
……ああ、この微笑みがムカつく。