こんにちは、頭蓋さん。
「じゃあ交換条件」
「……嫌」
「綾がキスしてくれたらどける」
「キモいです」
「10秒カウントねー」
「!!」
彼は楽しそうにじゅーう、きゅーう、と数えていく。くそ話がかみ合っていない。
こういうのは無視だ。睨みまくって、罵倒し続けて、相手が折れるのを待とう。
……しかしその決意はあえなく消えた。
「ーーうーん……、やっぱ無理だ」
「は?……んっ、」
強引に唇を重ねられる。
唇を食むように優しく、けれど長いキスは、不意打ちだったから息ができなくて、自分で聞いていて恥ずかしい声が漏れた。
とはいえ朝から流されるほど愚かな女じゃない。ドスっという鈍い音とともに、私の右手に手応え。
「……死ね」
「うん、ありがとう」
この男には今までにかなり「死ね」やら「ウザい」「キモい」など暴言を吐いている。
そのせいか耐性がついてしまったようで、今では全く噛み合わない返事をされるのがほとんどだ。