こんにちは、頭蓋さん。
彼の唇が濡れているのは見ないふりをして、澄まし顔をきっと睨む。
「早くどけて」
「朝からこんなことしても余裕なんだね。まだ足りない?」
「ちっがいますッ!」
反論しても聞かず。しなだれるように上から抱きつかれ、首筋に顔を埋められた。
「…綾、いい香りがする」
「変態」
あからさまに嫌な顔をして答えると彼は苦笑した。そして名残惜しそうに顔を離して起き上がる。
「おはよう、綾。微妙に下着見えてるけど」
「おはようございます。朝ご飯は何がいいですか?」
言いながら私も起き上がった。セクハラ発言は無視。もちろん少し捲れた服の裾はなおすけど。
ふらふらとリビングに向かう彼の後ろをついていく。
ちなみに言っておくが、私は決して彼の家政婦なんかじゃない。訳あって炊事を任されているだけだ。
「和風だったらなんでもいいよ」
綾の料理は美味しいからね、というにっこりスマイルはまたも無視。
和風か。だったら無難に焼き魚?でも面倒だなぁ。ご飯は昨日タイマーセットしといたものがあるからそれを持ってこようか。
「えー、無視?」
「気持ち悪いです」
可愛くちぇっ、なんて言ってるのも軽く無視だ。