偽りの花嫁
「いつもの制服とは違ってやはり私服はいいな」
「ありがとうございます」
旦那様は私の姿をジッと眺めた。こんな素敵なドレスの様な服を着せられ何かあるのだろうかと不安になってしまう。
私は18歳の誕生日のお言葉を今日貰えるのだろうかと期待を胸にドキドキしている。
「お前の誕生日には必ず帰る。それまで手配しておくから毎日しっかりその体を磨いておくことだ」
「あの・・・どういう意味でしょうか?」
「今日から専属使用人を付ける。お前の世話をしてくれる専属の使用人だ。そいつに任せておけば全て教えてくれる」
「あの、旦那様?!」
「18歳の誕生日に婚約パーティを開くからそのつもりでいろ」
旦那様の口から今婚約という言葉が聞こえた。それは紛れもなく私の耳に入って来た言葉で夢でも幻でも何でもない。
その言葉が事実なのか呆然としてしまった。
「あの、私は18歳の誕生日に年季が明けると聞いて」
「高校卒業したら結婚式を挙げてもらう」
旦那様は本気で私を結婚させようとしている。私を見る旦那様の鋭い目がそう物語っている。しかし、急にそんな話を振られても困る。私は誕生日が来たらここから解放され、私を待つ両親の許へ帰れるはずだ。