デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「私の気持ちは変わりません。どうしても……シュリさんがこういうことするなら」

「お前………」

「顎の下あたりに頸動脈がある事くらい、私でも知ってます」

きゅっと唇を結んで、小刻みに震えながらもシュリを見据えた。

その真っ直ぐな目線に、シュリは歯を噛みしめた。

拳を握ってうつむき、小さく暗い声で言う。

「……死ぬ程嫌か」

「え?」

「俺のものになるのは……お前が自分を殺すほど嫌なのか」

「シュリさん……」

ゆっくりと顔を上げて、桜を見る。

泣きそうな表情をしていた。

「ごめんなさい、シュリさん……でも、これだけは譲れないんです」

下唇を噛んで、桜は震えながら答えた。

「王様の事もだけど……シュリさんの事も」

「俺……?」

うなずいて、涙声で言う。

「シュリさんのことも、大切なんです。大切な人なんです……こんな事で、捕まって欲しくない」

「桜……」
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