デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「私を助けてくれました。ずっと、不安なときでも笑ってくれて…嬉しかった。この世界で、私に初めて優しさをくれたのは、シュリさんです」
キトニの街で、うずくまる裸の自分にかけてくれた、毛織のマント。
その温かさを思い出して、桜は胸の痛みに大粒の涙をこぼした。
「心の底から信じてる。私の強い味方で、形は違っても、大好きな人です。一番大事なものはあげられないけど」
シュリも唇を結んで、そっとそのブラウンの瞳を伏せた。
ゆらゆら揺れる灯りに、その長いまつげが頬に影を落とした。
「だからお願いシュリさん、私にあなたを軽蔑させないで。嫌いにさせないで」
「………」
「変わらないで味方でいてほしいなんて言いません。でも、私の中の優しいシュリさんまで、奪わないでください」
お願いします、と小さく繰り返しながら、何度も頭を下げた。
裸の背中を丸めて、頼りなさげに長い黒髪を揺らす彼女を、シュリは静かに見つめた。
小さく皮肉な笑いを浮かべて、目を閉じ天を仰ぐ。
ああ、まるであの時の。
キトニで初めて出会った時の彼女を見ているようだ。
あの時と違うのは……もう、先が見えたということ。
もう、一緒に生きてはいけないということ。
自分は、思い出になるしかないということ………。
キトニの街で、うずくまる裸の自分にかけてくれた、毛織のマント。
その温かさを思い出して、桜は胸の痛みに大粒の涙をこぼした。
「心の底から信じてる。私の強い味方で、形は違っても、大好きな人です。一番大事なものはあげられないけど」
シュリも唇を結んで、そっとそのブラウンの瞳を伏せた。
ゆらゆら揺れる灯りに、その長いまつげが頬に影を落とした。
「だからお願いシュリさん、私にあなたを軽蔑させないで。嫌いにさせないで」
「………」
「変わらないで味方でいてほしいなんて言いません。でも、私の中の優しいシュリさんまで、奪わないでください」
お願いします、と小さく繰り返しながら、何度も頭を下げた。
裸の背中を丸めて、頼りなさげに長い黒髪を揺らす彼女を、シュリは静かに見つめた。
小さく皮肉な笑いを浮かべて、目を閉じ天を仰ぐ。
ああ、まるであの時の。
キトニで初めて出会った時の彼女を見ているようだ。
あの時と違うのは……もう、先が見えたということ。
もう、一緒に生きてはいけないということ。
自分は、思い出になるしかないということ………。