デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
その時、胸元の夜着の合わせ目から、薄手の布が見えた。
その奥には、寄せられた2つの膨らみが作る影。

「!」

ぱっとグラスをあおる。

「多分、そなたが飲んだら倒れるな」

動揺をごまかして、ふっと笑って見せた。

そんな心中など知らず、もっとその身を寄せて、ふんふんと鼻を動かした。

「あ、ホントだ……何か強そうなお酒の匂いがする」

桜の白いうなじが見えて、彼は少し唇を噛んで目をそらした。

「王様、お酒強いんですか?」

「まあ……あまり酔いつぶれはしないが」

「そっか、体の不調もすぐ回復するんでしたっけ。いいですね、じゃあ二日酔いもしないんだ」

すでに少しこなれた雰囲気の桜が、王をのぞき込んでニッコリ笑った。

「…………」

「あれ?でも今はもう酔ってます?」

「酔ってない」

「え?だって、目の下が赤いですよ」

からかっているわけでもなさそうな彼女を軽く睨んだ。

「これは……違う」
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