デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
とすん、と寝台に桜を座らせて、戸惑いに軽く開いたその唇に自分のそれを重ねた。

「ん!」

「……なぜ、こんなに煽るのか」

彼女がきっと勇気を出して、慣れない衣を自分のために着てくれたのが嬉しい。

いじらしくて、愛しくて。

それだけで、理性が飛びそうになる。
ゆっくり、優しくしたいのに、つい力がこもってしまう。

「あ……あの……」

まだ混乱する桜に、花のように微笑んだ。

「可愛い……桜…本当に、可愛い」

「!」

また赤くなる。

「脱がせるのが惜しいな」

すり、とその熱を持った頬を、彼女の白い首に。

ふふ、と小さく笑った。

「うん、決めた……来年からの『衣の司』の予算は倍額だな」

そう言うと、そっと首の後ろの紐に手を伸ばし、その長い指が蝶結びの端をツツ、と引いた。
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