デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
夜が更けていく。

外の星がいっそう輝きを増して、その星明かりは蒼白くその部屋にも差し込んでいた。

部屋にともっていた灯りが少しずつ尽きてきて、薄暗い壁に二つの影が揺れていた。

荒く乱れる吐息が、お互いの上気した肌にかかり合っている。

「桜………さく、ら……」

何度めか分からないくらい、自分の名を呼ぶ彼の口づけを受ける。

知らない感覚をずっと教えられ続けている彼女は、またその白い身を震わせた。

「あぅ………っ」

また、びくんと背中が跳ねて、少し涙目で紫の瞳を見つめる。

「そ……そんな……とこ……」

小さな抗議に、彼は汗の浮いた顔に艶っぽい微笑みを浮かべた。

ちゅる、とそのしなやかな指先を見せつけるように舐め取る。

「!な……」

あわてて力の入らない手で押しとどめようとするが。

「…甘い」

はぁ…と感嘆するようなため息をついて、そこに顔を埋める。

「………んっっ!」

目の前が白くなる。潤んだ黒い瞳を細め、二、三度痙攣した。

そんな彼女を見て、ゾクゾクと背中に官能が這い上がる。

「私の、花……」

なんて可愛い。なんて美しい。そしてなんて……。

たまらず、その愛撫が強く激しくなる。

甘い声を聞きながら、彼は我を忘れて、身も心も彼女に溺れた。

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