デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
気がつくと、王宮の裏門に着いていた。
「ご客人様。到着致しました」
素っ気ないその声にうながされ、桜は白木の馬車を降りる。
お礼を言うのも忘れて、ぼんやりとした頭でノロノロと歩き出した。
後ろで馬車が走り去る音がしたが、振り返らなかった。
王宮の敷地内に走る、大きな石畳の道にそのサンダルの足が乗ったとき。
「桜」
聞こえてきた深い響きの声に、ハッと顔を上げた。
そのときには、藍色の長い髪のその人は、ヒラリと馬を降りていた。
早足で歩み寄り、その腕にやっと帰ってきた最愛を抱きしめる。
「王様」
「お帰り、桜……」
はあっ、とため息をついて、その黒髪に頬をよせる。
「良かった、帰りも何事もなかったようだな」
安心したように頭をなでた。
桜は曖昧に笑うばかりだったが、王はその手を引いてさっさと彼女を馬に乗せる。
自らも軽やかに飛び乗って、馬を進め始めた。
「ご客人様。到着致しました」
素っ気ないその声にうながされ、桜は白木の馬車を降りる。
お礼を言うのも忘れて、ぼんやりとした頭でノロノロと歩き出した。
後ろで馬車が走り去る音がしたが、振り返らなかった。
王宮の敷地内に走る、大きな石畳の道にそのサンダルの足が乗ったとき。
「桜」
聞こえてきた深い響きの声に、ハッと顔を上げた。
そのときには、藍色の長い髪のその人は、ヒラリと馬を降りていた。
早足で歩み寄り、その腕にやっと帰ってきた最愛を抱きしめる。
「王様」
「お帰り、桜……」
はあっ、とため息をついて、その黒髪に頬をよせる。
「良かった、帰りも何事もなかったようだな」
安心したように頭をなでた。
桜は曖昧に笑うばかりだったが、王はその手を引いてさっさと彼女を馬に乗せる。
自らも軽やかに飛び乗って、馬を進め始めた。