デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「お前少し変わったな」
「そうか?」
思わぬ一言に首を傾げた。
「ああ。なんつーか…前の取り付く島のない冷血仕事美女って感じじゃなくなった」
「…喧嘩売ってんのか、お前は」
「嘘うそ。でも何か人間的に丸くなったよ。さてはアレだろ、好きな女が出来たんだろ」
図星をつく一言に、思わず固まる。
その時。
「あのっ……王都武官の、アスナイ様ですよね…」
声が聞こえた。振り向くと、豊かなオレンジの髪に、水色の大きな瞳をした若い娘が頬を染めて立っていた。
「私…あの…街であなたを見たときから、ずっと忘れられなくて…今日、あなたが私の村に来てくれて、嬉しくて…っ…どうしても、想いを伝えたかったんです…」
ふう…と心底疲れたようにため息をつき、アスナイはさっさと愛馬にまたがった。
「おい、出発するぞ。集合場所、どこだ」
同僚をせかした。
「アスナイ様!わ…私、初めて、好きな人に告白できたんです!ほんとに、好きなんです……一夜限りでも、思い出でもいいって、思うくらい……」
はらはらと娘の可憐な目から大粒の涙が落ちた。
つい、とアスナイが馬上から振り向いて、口を開いた。
「俺が今愛しいと思っている女は」
氷のように冷たい瞳で、娘を見据えた。
「もし自分の家族や隣人の家が野盗に荒らされたら、その人間のことを真っ先に思いやる娘だ。時には自分が傷つくことを恐れずに、人に寄り添おうとする。間違っても、お前のようにこんな状況でお構いなしに自分の願いを押し通そうなどとはしない」
低い声に、一片の情もない。
「そして、一夜の思い出でいいなどと、自分を安く売ったりも絶対にしない。誰の言うなりにもならない、心の強靭さを持った娘だ。お前などとは、比べ物にならん」
呆然とする娘に言い捨てて、馬を進めた。
冷や汗をかいた同僚が、小さくもう一人にささやいた。
「……おい……むしろ前より辛辣になってねーか?」
「…………だな……」
「そうか?」
思わぬ一言に首を傾げた。
「ああ。なんつーか…前の取り付く島のない冷血仕事美女って感じじゃなくなった」
「…喧嘩売ってんのか、お前は」
「嘘うそ。でも何か人間的に丸くなったよ。さてはアレだろ、好きな女が出来たんだろ」
図星をつく一言に、思わず固まる。
その時。
「あのっ……王都武官の、アスナイ様ですよね…」
声が聞こえた。振り向くと、豊かなオレンジの髪に、水色の大きな瞳をした若い娘が頬を染めて立っていた。
「私…あの…街であなたを見たときから、ずっと忘れられなくて…今日、あなたが私の村に来てくれて、嬉しくて…っ…どうしても、想いを伝えたかったんです…」
ふう…と心底疲れたようにため息をつき、アスナイはさっさと愛馬にまたがった。
「おい、出発するぞ。集合場所、どこだ」
同僚をせかした。
「アスナイ様!わ…私、初めて、好きな人に告白できたんです!ほんとに、好きなんです……一夜限りでも、思い出でもいいって、思うくらい……」
はらはらと娘の可憐な目から大粒の涙が落ちた。
つい、とアスナイが馬上から振り向いて、口を開いた。
「俺が今愛しいと思っている女は」
氷のように冷たい瞳で、娘を見据えた。
「もし自分の家族や隣人の家が野盗に荒らされたら、その人間のことを真っ先に思いやる娘だ。時には自分が傷つくことを恐れずに、人に寄り添おうとする。間違っても、お前のようにこんな状況でお構いなしに自分の願いを押し通そうなどとはしない」
低い声に、一片の情もない。
「そして、一夜の思い出でいいなどと、自分を安く売ったりも絶対にしない。誰の言うなりにもならない、心の強靭さを持った娘だ。お前などとは、比べ物にならん」
呆然とする娘に言い捨てて、馬を進めた。
冷や汗をかいた同僚が、小さくもう一人にささやいた。
「……おい……むしろ前より辛辣になってねーか?」
「…………だな……」