デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
『アスナイ、今日は宿に一泊するんだろ。俺腹減ったし、何か食い物買っていこうぜ』

追いついたシュリが、明るく相棒に聞いた。

『…いや、このまますぐに発とう』

『はっ!?』

茶色の瞳を見開いて固まるシュリを横目で見て、少し考えるように顎に手をやった。

『…あの宿の主人がこの娘を見ても、我々の安全が保障されるかわからん』

やっかいな連中に、寝ている間にも桜の情報をこっそり流されたら困る。

アスナイはそう言うのだった。

『お、おま…今は夜だぞ。今から街を出て野原や森で野営するってのか』

『こんな姿の者を連れて、この街で休むよりは安全だ』

『ええ~…マジか…やっとベッドで寝られると思ったのに…そうだ、またいくらか金を握らせればいいだろ。安全は金で買えるって、お前言ってたじゃないか』

『限度というものがあるだろうが。…いいぞ別に、お前は残っても。明日の朝、首と胴体が繋がってたら後から来い』

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