MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 断る理由までお見通しだった。今、棚野さんが言ったことがすべてだ。
 ひとりの男性として私は棚野さんに好きという気持ちが持てない。
 良い人だと思うけれど、恋愛感情がどうしても伴わない。だから、付き合えない。

「最初は好きじゃなくても構わないよ。今までみたいに仕事終わりに食事するだけでいい。俺を“彼氏”ってポジションに置いといてくれたら、そのうち好きになるかもしれないだろ?」

 今日の棚野さんは饒舌だ。
 いつもはこんなに次から次へと言葉を発する人ではない。
 必死に言い募る姿が棚野さんらしくなくて、少々驚いた。

「……ごめんなさい」

 だけど棚野さんの提案をのむわけにはいかない。
 付き合っていくうちに好きになればいい?
 それは無理だ。私にはどうしてもできそうにない。

 恋愛というものを長年していないから、私の恋愛センサーは錆び付いている。
 だからそんな器用なマネはできないのだ。

 もっとシンプルに、好きだと思える相手と出会えたときに恋愛をしていきたい。
 ……ただそれだけのこと。

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