MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「なんで?」

「え?」

「もしかしてあの人? 俺と付き合うより、あの人がいい? 好きなの?」

 聞かれている内容がわからなくて小首をかしげる。

「あの人って……誰のことを言ってるんですか?」

 こんなにあせる棚野さんは今まで見たことがない。
 異様な雰囲気の中、私は小さな声で尋ね返した。

「ほら、萌奈ちゃんが言ってた人。以前傘を買いにきたとかいう。雑誌にも載ってて、王子様って騒いでた人だよ」

 ―― 日下さんだ。
 どうして今、その名前が出てきてしまうのだろう。
 昨日、日下さんとカフェで話して……棚野さんとは付き合えないなとそのときに確信はしたけれど。

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