MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「どうしても棚野じゃダメなのか?」

「……」

「アイツ、いいヤツだろ?」

 良い人なのは十分わかっている。だけどそれだけでは恋心に発展しないのだ。

「昨日酒飲みながらアイツが言うんだよ。本気でお前のことが好きなんだって俺に切実に語るわけ。考えてみたらここで働いてるときからアイツはお前のこと好きだったんだよな。いろいろ親身になったりしてたのに結局フラれるんだなって思ったら、なんだかアイツが不憫に思えてさ」
 
 それを言われると、本当につらい。
 だけど……心の底から申し訳ないと思うけれど、彼の気持ちにはどうしても応えられない。

「窪田さん、すみません。でも私、断ったら気の毒だからとかそういう理由で仕方なく付き合うのも違うと思うんです」

 窪田さんと棚野さんは男同士で仲がいい。
 だから私ではなく棚野さんの味方をしたくなるのだと思う。それは理解できる。

 でも、せっかく思いを寄せてくれているし断るのは悪いから付き合う、というのは違う。
 恋愛という感情はなく、それはただ同情しているだけだ。

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