MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「うるせぇーよ」

 真後ろで怒りに満ちた声が聞こえ、私は自然にブルッと身体が震えた。
 その瞬間、頭を目の前の壁に勢いよくガツンと押し当てられて痛みが走る。
 涙も出ない。出たのは「うっ」という呻き声だけだ。
 そしてまた、恐怖に支配される。

 ……もうダメだ。犯されて殺される。
 諦めにも似た感情が頭をかすめたとき ―――

「おい! なにやってんだ!!」

 私の声が誰かに届いたのか、助けに来てくれた人がいた。
 真後ろでチッという舌打ちが聞こえ、それと同時に捻り上げられていた右腕が解放される。
 ずるずるとその場にへたりこみながらも振り返ると、走り去る犯人の後姿が見えた。

「大丈夫ですか?!」

 助けに入ってくれた見知らぬ男性が、しゃがんで私に声をかけてくれる。
 私は震えながらもコクリとうなずいた。精神的には全然大丈夫ではないけれど身体は無事だ。

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