MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「ここなら安全だから、しばらく避難すればいい」

 とりあえず今の段階では素直にうなずいておいた。
 だけど、本当にずっとここにいるわけにはいかないと思う。
 樹里に事情を話して、しばらく彼女のマンションに泊めてもらおうかな。……うん、それがいい。

「明日の朝にまた来る。バスルームにアロマの入浴剤があるから熱い風呂に浸かるといい。じゃあ、ゆっくり休んで」

 そう言いながら、日下さんが向かいのソファーから立ち上がった。

「あ、あの……」

「ん?」

「もう少し……もう少しだけでいいので、ここにいてもらえませんか?」

 ひとりきりになる。そう考えただけで強い不安に襲われた。
 悲しいわけでも苦しいわけでもないのに、心臓が痛くなってくる。
 ……心細い、というだけの理由で。

< 165 / 262 >

この作品をシェア

pagetop