MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 養子にでもなれということか?
 それとも、いよいよ隠し子だったという線が濃厚に?
 そんなバカな。母と日下さんに接点はまったくない。

「社長、俺はもう息子同然ではありませんか」

 会社ではきちんと“社長”と呼んで一線を引いている。
 だがこのときは互いに、社長と社員という枠を大きく超えていたのは明らかだった。

 実の父が死んでから、日下さんは俺にとって父親同然だ。俺に真心をくれた唯一の人だった。
 その人が今、俺に頼みごとをしようとしている。きっと、重要な内容なのだろう。

「私にはひとり……娘がいるんだが……」

 実際に会ったことはないが、日下さんに娘がいるのは知っていた。
 たしか俺よりいくつか年下だったかなと、そんな曖昧な情報しかないが。

「甘やかして育てたつもりはないが不出来な娘でね。ワガママというか我が強いというか。こうと決めたら譲らず、猪突猛進なところがある」

 穏やかな日下さんの娘だから、きっとおしとやかなお嬢様なのだろうと思っていた。
 だけど話を聞く限りはそうでもなさそうだ。

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