MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「モテてないよ。みんななにか誤解してる」

「誤解? 棚野のこともそうだって言うならキツい冗談だな」

 窪田さんにフンッと鼻で笑われても、自分がモテていると自覚したことは一度もない。
 至って普通の、彼氏のいないアラサー女子だと思っている。

「ほら、噂をすれば来たぞ。棚野だ」

 そう言われ、視線を入り口のほうへ向けると、「こんにちは」と今日も爽やかな笑みをたたえて棚野さんが現れた。

 棚野さんは半年前までここで一緒に働いていた元同僚だ。
 元々インテリアコーディネーターになるのが夢で、そちらの道へ進みたいからと転職していった。

 半年前と言えば、ちょうど丹沢さんの結婚が皆に知れ渡ったころだった。
 この店舗にピタリと来なくなった丹沢さんと入れ替わるように、棚野さんが私によく話しかけてくれるようになった。

 同じ店舗で働く者同士は仲良くなるのも早い。
 だけど棚野さんが会社を辞めたら、それ以上関係は進まない。きっと丹沢さんのようにプツリと縁が切れる。
 そう思っていたのだけれど、棚野さんは辞めたあとも仕事の合間などに時間を見つけては店に来てくれている。

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