MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「そんなに古巣がいいのか?」などと窪田さんに冷やかされてもニコニコと笑っていて、言い返したりしない。
 窪田さんと萌奈ちゃんは、棚野さんは私に会いに来ているのだと断定しているようだ。
 だけど勝手にそう決めつけられても困る。
 好きだとか付き合ってほしいという“好意”を示す特別な言葉を棚野さんからはなにも言われていないのだから。

 職場が変わって接する時間が減ると、仲良くなるスピードも自然と停滞する。
 商品が綺麗に見える工夫など、以前は私からも売り場作りのことを相談していたのだけれど、それももうなくなってしまった。
 今はたまにご飯に誘ってもらい、お互いの仕事の話や愚痴を言い合うような……私たちはそんな仲だ。

 棚野さんのことはもちろん全然嫌いではない。
 一緒に働いてたときも親切にしてもらっていたし、後輩の私はかなりお世話になった。
 明るくて爽やかで、良い人だとは思う。
 だけど特別な関係になろうとしないのは、棚野さんも私との交際を望んではいないのだと思う。
 窪田さんや萌奈ちゃんが、勝手な憶測ではやし立てているだけだ。

< 35 / 262 >

この作品をシェア

pagetop