MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「あぁ、そうだ。俺の名刺を渡しておく」

 彼が突然上着の内ポケットから名刺入れを取り出した。

「なにか困ったことがあれば連絡してきて。俺で役に立てることがあるかもしれない」

 そう言って名刺を一枚私に差し出してくる。
 そこには当然、携帯番号とメールアドレスが書かれてあった。

 これを貰っても、今後こちらから連絡することはない気がするけれど。
 つき返すわけにもいかないのでありがたく貰っておこう。

「雨女と雨男が知り合ったのも、なにかの縁だから」

「……あ! だからですね!」

「なにが?」

 私がひとりで納得していると、日下さんが静かな口調で問い返してくる。
 今にも噴出しそうになるのをこらえながら、私は窓の外を指差した。

「私と日下さんがふたり揃っているから、こんなに土砂降りの雨なんですよ」

 今日は夕方に近づくにつれて雨足が強まっていた。
 今ならわかる。あれは彼が現れる予兆だったのだ。

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