十九時、駅前
まだ入社二年目、
営業企画部配属一年目の私には、
それ以前のことはわからない。

「いや、忙しさはいつも通りなんだが、
その……なんでもないっ」
 
そういうと、
片桐課長はぷぃっと私から視線を逸らした。

……いつも、そう。
なにかいいたくないことになると、
こうやってはぐらかす。

「けど、
おまえも残業続きだと夜道が危ないだろ?」

「そうですね。
時々、父が駅まで迎えにきてくれたりします」

「そうだろーなー。
……そうだ。笹岡、おまえ、引っ越ししろ」

「は?」
 
ナイスアイディアだよな、
そんな感じで
片桐課長はひとりで納得してますが。
いつも通り、私には意味がわかりません。

「俺んち……いや、
会社の近くに引っ越しすれば、
夜道の心配しなくていいし。
残業続きでも大丈夫だし。な、そうしろ」
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