遠回りして気付いた想い
それは、とても親しみのある声だった。

オレは、声のした方に目を向けた。

そこには、スーツ姿(イケメンは、何着ても様になるんだな)の自称、婚約者様。

「何って、これから皆でパーティー…」

そう言いかけて、慌てて自分の手を口に当てる亜耶。

何?言ったら不味い事なのか?

オレは、不思議に思いながら亜耶を見れば、顔色が曇っている。

「パーティー?」

怪訝そうな顔を見せる婚約者。

「大丈夫、直ぐに帰るから…」

亜耶が、そう言ってるのが聞こえる。

亜耶は、最期までいないのか?

それとも、何か理由があって、帰るのか?

頭の中で、悶々と考える。

…が、答えなんて出てくる筈もない。

「亜耶。さっきの人って、この間の?」

水口が訪ねる。

「うん、そうだよ」

亜耶は、顔を強張らせて言う。

「へぇー。凄い、心配性だね」

オレもそう思う。

小学生じゃないんだから、少し位遅くなってもいいと思う。

「そうかなぁ…」

亜耶が、何故か照れてる。

あんな顔、オレ見たこと無い。

あの人の前だと、そんな顔もするんだな。

亜耶は、婚約者の事が好きなのか?

またもや、悶々と考えずにはいられなくなった。
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