恋の始まりは偽装結婚
いつもはオルガンを演奏してくれる女性がいるけれど、今はいないよう。
一人二役をこなす牧師さまの額から汗が噴き出ている。大変そうだ。
牧師さまの言葉が始まり、先ほどまでのほんわかした雰囲気と打って変わってピリッとした空気が流れる。
佐伯さんがどんな顔をして牧師さまの話を聞いているのか気になるけれど、見られない。
本来なら自分たちが誓いの言葉を述べるのだけど、今回は省略して指輪の交換となった。
そこで私はハッとなる。
「指輪は?」
佐伯さんが真面目な顔で私に尋ねる。
「な……ないです」
指輪はサイズが合わずに直している最中だと、祖母に説明すればいいと思っていたから用意していなかった。
実際はそこまで気が回らず、今朝思い出したのだけど。
「指輪を用意していないなんてマヌケだな」
「指輪を用意していたからって、佐伯さんには大きさが合わないかもしれないじゃないですか」
マヌケと言われて、ムッとしながら反論すると、牧師さまはやれやれといった顔になる。
「では、誓いのキスを……」
牧師さまの言葉に、今まで言い合っていた私たちは目を丸くする。
「するわけないですね」
牧師さまは後頭部を手で掻きながら苦笑いを浮かべた。
「も、もちろんです!」
二十七歳の女がわけもなく恥ずかしくなって、強く返事をしてしまうと、またもや佐伯さんの喉の奥から聞こえてくる笑い。
余裕の大人の男って感じ。もちろんルックスがいいからモテるんだろう。年を聞いていなかった。私よりほんの少し上のような印象だけど。
考え事をしている最中に、挙式が終わっていた。
一人二役をこなす牧師さまの額から汗が噴き出ている。大変そうだ。
牧師さまの言葉が始まり、先ほどまでのほんわかした雰囲気と打って変わってピリッとした空気が流れる。
佐伯さんがどんな顔をして牧師さまの話を聞いているのか気になるけれど、見られない。
本来なら自分たちが誓いの言葉を述べるのだけど、今回は省略して指輪の交換となった。
そこで私はハッとなる。
「指輪は?」
佐伯さんが真面目な顔で私に尋ねる。
「な……ないです」
指輪はサイズが合わずに直している最中だと、祖母に説明すればいいと思っていたから用意していなかった。
実際はそこまで気が回らず、今朝思い出したのだけど。
「指輪を用意していないなんてマヌケだな」
「指輪を用意していたからって、佐伯さんには大きさが合わないかもしれないじゃないですか」
マヌケと言われて、ムッとしながら反論すると、牧師さまはやれやれといった顔になる。
「では、誓いのキスを……」
牧師さまの言葉に、今まで言い合っていた私たちは目を丸くする。
「するわけないですね」
牧師さまは後頭部を手で掻きながら苦笑いを浮かべた。
「も、もちろんです!」
二十七歳の女がわけもなく恥ずかしくなって、強く返事をしてしまうと、またもや佐伯さんの喉の奥から聞こえてくる笑い。
余裕の大人の男って感じ。もちろんルックスがいいからモテるんだろう。年を聞いていなかった。私よりほんの少し上のような印象だけど。
考え事をしている最中に、挙式が終わっていた。