素敵な夜はあなたと・・・
斉藤が答えに困っていると隣から茜の友達が口を挟んできた。
「決まってるじゃないそんなの。赤の他人が同じ屋根の下に住むならエッチしかないわよ。」
流石に斎藤は言葉に出来なかったが、その答えには賛同したようで頭をかなり大きく振っていた。
茜は二人の答えを聞くと少し落ち込みながら再び机に突っ伏してしまった。
「それでも手を出さないのって何?」
「男が女を意識してないからよ。」
「ちげーよ。女が相当拒んだんだよ。男がしないはずないだろ?そんな美味しいシチュエーション逃すのは余程のダメ男かゲイだな。」
「斉藤ならやんの?」
「当たり前だろ!茜と二人っきりになったら朝まで夢見心地にさせてやるからな!」
二人の会話を聞けば聞くほどに茜は凹んでしまった。好きで結婚した訳ではないけれど、これ迄お互いに二人の生活は大事にしてきたつもりだった。
優也は茜には優しいから、茜も優也には優しくしたいと思っている。一緒にいて話しも弾むし家事仕事も一緒にやっているし、それほど不満には感じていない。
だけど、優也に対して男の人だと意識させる雰囲気はないし、意識させるような素振りも全く無い。
「良い雰囲気なのに手を出さないのは?」
「その男は病気なんだよ!異常な男なんだ、」
「斉藤って欲求不満なの?」
やはり、茜には凹む会話が続く。優也にとって茜はどんな存在なのだろうかと思えた。