素敵な夜はあなたと・・・
自宅マンションへ帰って来ても優也の不愛想なのは相変わらずで、茜は触らぬ神に祟りなしとさっそうと自室へと逃げ込んだ。
「茜」
優也が玄関に入って茜を呼んだ時にはもう茜は自分の部屋へと入って行った。駆けて行く足音に気付いた時は既に遅く茜の姿はもうそこにはなかった。
「しょうがないヤツだな・・・・」
優也は大きな溜息を吐くと玄関に座り込んで頭を抱え込んだ。そして数回大きな息を吸うと天井を仰ぎ見た。
「どうしたものか」
優也は茜とのクリスマスを悩んでいた。結婚後初めてのクリスマスを迎えるが、今の状況でクリスマスを楽しむのは無理だと考えていた。だから、今年のクリスマスは諦めさせようかと悩んでいたが、楽しみにしている茜にはそんな話しが出来ずにいた。
「分かっていなんだよ、茜は。」
優也は会長からの頻繁な催促もありクリスマスは茜と過ごすのに最適な時だ。これまで全く手を出さなかった優也が茜に触れるのに違和感のない日になる。
きっとクリスマスを演出し場の雰囲気を盛り上げれば茜ともそんな関係になることは難しくないだろう。けれど、茜と一線を越してしまえばもう自分が茜から逃げられなくなると思えてならなかった。
優也にとって茜は可愛い存在だが今のままの茜で居て欲しいと思っているだけに、今度のクリスマスは一人で過ごしたい思いに駆られていた。