素敵な夜はあなたと・・・
茜は、「大事にするよ」と優しい言葉をかけてくれる斉藤といつも一緒にいた。斎藤は言葉通り茜を一番大切なものと思わせるように接してくれる。
そんな斉藤といると茜は余計なことを考えずに済むのだと、毎日、斉藤のそばで笑って過ごせると思っていた。
「茜? どうしたんだ? ボーッとして。」
斉藤と学校帰りに喫茶店へ寄ろうとしたけれど、斉藤が選んだ店はあの時優也と美佐が仲睦まじい姿を見せた喫茶店だった。
茜の手を引いて店へ入ろうとする斉藤の手を振り払うと、茜の足は店と反対の方へと向いてしまう。
「死んでもあの店には入らない」
「茜? どうしたんだよ?」
斉藤は茜を怒らせたかと慌てて後を追いかけた。そして、悲しそうな顔をして俯いている茜に気付いた斉藤は茜の肩を抱き寄せた。
「なぁ、茜の家でコーヒー飲みたいな。」
茜にあの喫茶店で何かあったのだろうかと、そう思った斉藤は茜のマンションへ行こうと誘った。
「うん、いいよ。」
悲しげな顔はいつの間にかなくなり茜は笑顔を向けていた。その笑顔が何となく辛そうに見えた斉藤は茜の頭を軽くポンポンと叩いた。
その手の温かさに茜は斉藤に抱きついてしまった。
「優しい斉藤君は好き」
「俺は茜がメチャメチャ好きだ」
「うん」
斉藤に抱きしめられると茜はとても落ち着けた。こんな時間がずっと続けばいいのにと茜はそんな淡い期待を抱いていた。