素敵な夜はあなたと・・・
茜は終業式を終え春休みへと入ると、その生活も次第に乱れて行く。どうしても、一人で暮らしていると怠け癖が出てしまう。
それもこれも、何かをしようとすると優也を思い出すからやりたくなかったのだ。
そんなマンションへいきなり母親の美佐がやって来た。茜が一人で暮らしていけるのか心配だった美佐が一人暮らしを始めた茜のマンションへ初めて訪問した。
茜はリビングのソファーへ座ったまま動こうとはせず、着ている服装もシワになったシャツに短パンを穿いているだけで裸足のままの状態でソファーに寝転んでいた。
美佐はキッチンへ行くと使った皿やコップなどが大量に山積みにされたシンクを見ていた。いったい何日間放置したのだろうかと言うような状態に開いた口が塞がらなかった。
「茜、自炊していたんじゃないの?」
「してるわよ」
最近、茜は何も手につかずやる気もおきなかった。春休みに入ると斎藤と会う機会も減り、その度に優也を思い出し憂鬱な気分にさせられていた。
「こんな酷いあり様、優也さんが知ったら悲しむわよ。」
ここで美佐の口から優也の名前が出てくるとは思わなかった茜は思わず笑ってしまった。
「関係ないわ」
「自活できないのなら帰って来なさい。」
自分の母親と夫が仲睦まじくしている家へ帰れと言うのか?と、茜は美佐に問いたくなった。