素敵な夜はあなたと・・・

「いた・・・・」


 暗闇の中、何も見えなかったが、ガラスの破片で切った手の痛みだけは分かった。茜はかなり痛みが強くなると水道水で痛みのある部分を洗った。

 ガラスの破片が刺さったのか患部からチクチクと何かが刺さっている感覚があった。水道水で洗い流した後はそのチクチク感がなくなったことで破片を取り除けたと分かった。

 茜は痛みのある手をそのまま握り締めてキッチンを出て自分の部屋へと戻った。

 痛みの強い手を握り締めたままベッドへと入ると、睡魔に襲われた茜はそのまま眠ってしまった。手の痛みは睡魔には勝てなかったようで、かなり深い傷を負ったのに茜は暗い部屋の中で傷を確認することをしなかった。



 茜が眠って暫くした頃、優也は外出から帰って来た。深夜の時間帯なだけに茜に気付かれないようにと静かにドアを閉めると、リビングから茜の部屋へ行く廊下に何か水滴の様なものが落ちていることに気付いた。

 優也は廊下の電気を点けるとその水滴が血だったことに気付いた。茜の身に何かあったのだろうかと慌てて優也は茜の部屋と走った。

 電気を点けると茜はぐっすりと眠っているようで、その寝顔を見て安心した優也だが茜の指から血が流れていることに気付いた。少し深く切っていたその指の血は止まらずに少しずつ流れ続けていた。

 茜の鮮血に布団は真紅の薔薇の模様が出来ていた。優也は急いで洗面所の棚の上に置いていた救急箱を取って来ると止血する為に絆創膏を強めに撒いた。



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