クールなCEOと社内政略結婚!?
「おはようございます」

 いつもよりも十五分ほど遅れて自分のデスクに到着した。いつもの靴が見当たらずに、適当に掴んだパンプスで、全速力で走ったせいで踵が靴擦れを起こしてしまって痛い。しかし、なんとか遅刻せずに済んで、私はほっとしながらパソコンの電源を入れた。

 パスワードを入力しながら、朝ごはんを食べ損ねたことを今頃になって思い出し、今日のランチは早めに取ろうと決意する。

「これ、頼まれていた資料です」

 隣から、書類が差し出された。

「ありがとう梨花ちゃん」

 書類を受け取った瞬間、梨花ちゃんが鼻をクンクンとさせた。

「あれ、あさ美さんシャンプー変えました? いつもと違う匂いがする」

 ドキンと心臓が跳ねた。朝、あまりにも時間がなくて、バスルームにおいてあったシャンプーを拝借したのだ。

「あぁ、試供品もらったから試してみたんだけど」

「すごくいい香りですね。どこのですか?」

 食い下がられて、どぎまぎしてしまう。急いでいたからどこのシャンプーかだなんて記憶にない。

「えーっと、どこのだったっけ? 忘れちゃった」

「え~気になるのにぃ。あ、それに今日……そのワンピースどこで手に入れたんですか?」

「あ……」

 急いでいて、クローゼットにかかっているものをひっつかんで身に着けた。それは見合いのときに、社長……いや、孝文が私にくれたものだ。
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